
院長:こいしお気軽にご相談ください!
「仕事中に突然、心臓がバクバクして息が吸えなくなる…」そんな経験をしたことがある方、いませんか?
気心の知れた家族がそばにいる自宅と違い、職場では緊張が増してしまう方がとても多いです。逃げ場がない会議室、満員電車、上司からの急な呼び出し。そういった状況でのパニック発作は、症状そのものの苦しさに加えて、「周りに迷惑をかけてしまう」という焦りが重なって、さらに苦しくなってしまいます。
でも、まず最初に伝えさせてください。パニックが出るほどの緊張感の中で、今まで頑張り続けてきた自分を、まず認めてあげてほしいのです。それが、改善に向かうための本当のスタートラインだと、私は思っています。




私自身、20代のころに自律神経が乱れて心身がしんどかった経験があります。仕事中に体が限界を訴えることは、決して珍しいことではありません。一人で抱え込まず、まず正しく理解するところから始めてほしいと思います
対処法をお伝えする前に、まず「なぜ職場でパニック発作が起きやすいのか」を理解しておくことがとても大切です。理由がわかるだけで、発作への恐怖が和らぐことがあるからです。
パニック発作の根本には、自律神経の乱れがあります。交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、脳が「危険だ!」と誤った警報を出してしまうのです。職場という環境は「逃げ場がない」「失敗できない」というプレッシャーが重なりやすく、自律神経が乱れるトリガーになりやすい場所です。会議中、電車通勤中、重要な商談の前——こういった場面で発作が出やすいのは、あなたが弱いのではなく、それだけの緊張感の中で長く頑張ってきた証拠でもあります。
どんな状況で発作が起きやすいか、あらかじめ知っておくだけでも心の準備ができます。以下のような場面に心当たりはありませんか。
共通しているのは「コントロールが効かない」「逃げられない」という感覚です。この感覚が自律神経を刺激して、体が過剰反応してしまうのです。
いざ発作が起きたとき、パニックになってしまうのは当然のことです。でも、事前に対処法を知っておくだけで、発作の波に飲み込まれにくくなります。ここでは、職場でもすぐに実践できる5つの方法をお伝えします。
発作が起きると、呼吸が浅く速くなって過呼吸に近い状態になることがあります。そのときに最も効果的なのが腹式呼吸です。鼻からゆっくり4秒かけて息を吸い、口から8秒かけてゆっくり吐き出す。「吸う」より「吐く」を長くすることがポイントです。
息を長く吐くことで副交感神経が優位になり、体の緊張が少しずつほぐれていきます。意識が呼吸に向くことで、発作そのものへの過剰な注意も和らいできます。座ったままでも、立ったままでもできるので、ぜひまずこれから試してみてください。
発作のときは「また来るかもしれない」「このまま倒れたら」という未来への恐怖で頭がいっぱいになりがちです。そこで有効なのが、五感を使って「今この瞬間」に意識を戻す方法です。
目の前の机の手触りを確認する、足の裏が地面についている感覚に意識を向ける、手の指を一本ずつ動かして感覚を確かめる。こうした小さな動作が、暴走した思考を「今ここ」に引き戻す助けになります。
可能であれば、トイレや休憩室など、少し一人になれる場所に移動することをためらわないでください。「途中で席を立ったら変に思われる」と我慢し続けることが、発作をさらに悪化させることがあります。
「少し気分が悪くて」という一言で十分です。逃げ場を作ることは弱さではなく、自分の体を守るための大切な判断です。
発作のとき、体には無意識のうちにぐっと力が入っています。肩、首、手。気づかないうちに全身が緊張してしまっているのです。一度、肩や手に思いっきり力を入れてから、スッと力を抜いてみてください。
この「力を入れてから抜く」という動作を繰り返すことで、体の緊張が解けやすくなります。トイレの中など、一人になれる場所で試すとより効果的です。
発作の最中は「このまま死んでしまうかもしれない」という恐怖が出ることがありますが、パニック発作は命に関わるものではありません。体が危険に備えて出す「誤った警報」です。
「これは自律神経の誤作動。数分で必ず落ち着く」と、頭の中で繰り返してみてください。この「認知の切り替え」が、予期不安の連鎖を断ち切る力になります。最初はうまくいかなくても、繰り返すうちに体が覚えていきます。
発作への対処法を知ることと同じくらい、「職場にどう伝えるか」も重要なテーマです。黙って続けることで症状が悪化したり、やがて職場に行けなくなってしまう方もいます。
上司や信頼できる同僚に「体調的に急に席を外すことがあるかもしれない」と伝えておくだけで、精神的な安心感がまったく違います。「言えない」という状況そのものが自律神経への負荷になることも多いからです。
「パニック障害」という言葉に過剰反応される場合は、「自律神経の乱れで体調を崩しやすい」という言い方でも十分です。診断書があれば業務調整や在宅勤務などの合理的配慮を受けやすくなります。
以下のような状態が続いているなら、一度立ち止まって体を休めることも選択肢に入れてください。
休職は「逃げ」ではありません。体をしっかり回復させるための、大切な選択です。
発作が起きたときの対処法は、あくまで「波を乗り越えるための道具」です。それだけで根本が改善されるわけではありません。繰り返す発作の背景には、慢性的な自律神経の乱れがあるからです。
生活習慣の見直しも大切です。毎朝同じ時間に起きること、夜のスマホを控えること、軽い有酸素運動を習慣にすること。地味に感じるかもしれませんが、こうした積み重ねが自律神経の回復に着実につながっていきます。
そして、見落とされがちなのが心へのアプローチです。「また発作が来るかもしれない」という予期不安や、「自分はダメだ」という自己否定の感情が、自律神経の乱れをさらに助長しています。体と心は切り離して考えられません。心理的なアプローチを同時に行うことで、体の症状が驚くほど改善するケースを、私は17年間で何度も見てきました。
私自身、20代のころに自律神経の乱れで心身がとても辛かった時期がありました。職場でのプレッシャーも重なり、「なぜ自分だけ」と一人で抱え込んでいたあの頃の気持ちは、今でも鮮明に覚えています。
誰にも相談できず、自己流で試しては戻ってを繰り返したあの経験があるからこそ、同じように悩んでいる方の力になりたいという気持ちで治療家の道に進みました。延べ27,000人以上の方と関わってきた中で、確信していることがあります。パニックが出るほどの場所で、ここまで頑張ってきたあなたの体は、ちゃんと助けを求めているということです。
対処法を試しながらも「なかなか楽にならない」と感じているなら、どうか一人で抱え込まないでください。あなたの体と心のこと、しっかり聴かせていただきます。